すし崇
個人的に目を向けているのが地方鮨です。
地方で1人2万円~3万円もするような高級カウンター鮨を成り立たせるためには、美味しさはもちろんのこと、何かしらの付加価値が必要だと思っています。
その付加価値の1つとして考えられるのが、その地域の食材や調理方法と鮨を融合させることが挙げられると思います。
鮮度の問題や生産量の関係でその地域にしか出回らない食材があるかと思います。
その地域で昔から用いられてきた伝統的な調理法や調味料などもあるかと思います。
これらを鮨と融合させることで、そこでしか食べられない味を生み、常連客および全国から鮨好きを呼び寄せるお店になることで、成り立つものだと考えます。
今回訪れたのは海なし県の長野県・長野市にある『すし崇』です。
海なしなのに名店と呼ばれるお店で、果たしてどんなメニューが出てくるのか。
今回食べた全メニューをご紹介します。
1本目:能登の黒もずく、赤なまこ、安曇野ワサビ茎
黒もずくとワサビの相性がいいです。
赤なまこはコリコリとした食感で、アクセントとして効いています。
2品目:越中貝(エッチュウバイ)
越中貝に完熟胡椒が振りかけられています。
胡椒が貝の旨味を引き立ていて、純粋に貝の旨味しか感じません。
貝の肝の部分は個人的に苦手なのですが、くさみが全く無くこれなら無限に食べられます。
最初はビールで喉を潤していましたが、我慢できずに日本酒を注文しました。
3品目:うるめいわしの一夜干し
写真を撮り忘れました。。
旨味が強く半部くらい食べると食べ疲れてきます。
そんなときに添えられているフィンガーライムと一緒に食べることで、フィンガーライムの爽やかで口がリフレッシュされます。
フィンガーライムは普通のライムとは異なり、果肉の粒を擦り付けるようにして食べます。
果肉の粒が弾ける食感もいいアクセントになっていると思います。
安曇野ワサビ
天皇献上品のワサビです。
この後提供されるつまみにお好みで乗っけて食べていきます。
香りがすごく、味わいも爽やかなので、これで酒が飲めるレベルです。
4品目:タラの白子
天龍村のゆずを使用した餡がかけられています。
白子は低温調理されており、ねっとり濃厚で全く臭みがありません。
今年何回か白子を食べていますが、間違いなく今年一番です。
先程のワサビを乗っけて食べても美味しいです。
日本酒が進む一品です。
5品目:蛸の桜煮
やわらかく、噛んでいると蛸の旨味が溢れてきます。
こちらも日本酒が進みます。
6品目:クエのしゃぶしゃぶ
煎り酒がかけられています。
煎り酒は通常日本酒と梅干しから作られますが、長野県の名物である杏を使用して作っているとのことでした。
クエは28kgで1週間寝かせているとのことでした。
脂がしっかりとあって美味しいです。
芽葱が巻かれているので脂のクドさを感じさせません。
途中ワサビを乗っけると脂がさっぱりとした印象になって美味しいです。
7品目:ブリの味噌焼き
ブリの旨味が濃厚で美味しいです。
もちろん臭みは一切ありません
8品目:黄金蟹茶碗蒸し
蟹身の甘さを感じることができて美味しいです。
卵のプチプチとした食感がアクセントになっています。
9品目:からすみ
味噌がいい塩梅に効いています。
日本酒が進むやつです。
ガリ
ガリが提供されましたので、ここから握りが始まっていきます。
酸味と辛味が強い印象で、口がリフレッシュされます。
1貫目:白甘鯛
1週間寝かせているとのことです。
シャリには熟成の赤酢を使用しているとのことです。
甘鯛の甘さをしっかりと感じられました。
2貫目:しまあじ
シャキシャキとした食感を感じました。
噛むたびに旨味が溢れ出てきます。
3貫目:アオリイカ
長野県の名産であるくるみが挟まれています。
そしてかなりの数の包丁が入っています。
甘くねっとり食感で、噛んでいるとイカとくるみの甘味と風味が融合されていきます。
4貫目:金目鯛
風味がすごいです。
噛みながら鼻から抜ける香りを楽しみます。
5貫目:赤身漬け
5日間寝かせているとのことです。
マグロの味が濃厚で美味しいです。
6貫目:トロ
美味しいそうすぎて撮影するのを忘れました。。
3週間寝かせているとのことです。
ねっとり濃厚で脂と旨味をしっかりと感じることができますが、いやらしさやこってり感がなくて食べ疲れしません。
7貫目:寒ブリ
濃厚で脂をすごく感じられます。
ワサビではなく辛子が使われていますが、これがいいアクセントになっています。
冬はいい季節ですね。
8貫目:コハダ
脂もありつつ、いい酢〆加減で口がリセットされます。
9貫目:蟹身
内子、外子、味噌、身が混ぜられています。
全体としては味噌の味、噛んでいると外子のプチプチ食感、たまに内子、最後に身の味と複雑味があります。
10貫目(追加):しゃこ
卵を持っているのでメスのしゃこです。
身は固めで、噛んでいるとホクホクとした食感と旨味が出てきますし、シャリの酸味との混ざり合います。
11貫目:ウニ
豊洲市場の中で一番いいウニを仕入れているようです。
ウニは濃厚で一瞬で消えました。
のりでなく、きゅうりで巻かれているもの特徴です。
お椀
しっかりと出汁が効いていて、優しい味わいです。
12貫目:いくら
味噌たまりで漬けたいくらとのことです。
いくら本来の味わいとほんのりとした味噌の風味がたまりません。
13貫目:穴子
ふわふわで、クセは一切感じません。
玉
ホタテのすり身が混ぜられています。
甘い、デザートのようなタイプです。
市田柿
衝撃だったのはこちら。
市田柿にヨーグルトを合わせています。
市田柿の甘さにヨーグルトの酸味がマッチしてとても美味しかったです。
完全再現は難しいですが、調理法も教えていただけたので今度家でも作ってみようと思います。
お酒
写真を撮ったのは日本酒のみで、この他に瓶ビールと杏サワーを頂いています。
本金 赤ワインカスク
日本酒を赤ワイン樽で熟成をかけた1本です。
赤ワインの渋さはなく、果実のフルーティーさが出ている1本です。
日本酒っぽさは薄まるので、好みは分かれそうとは思いました。
ウイスキーも赤ワイン樽で熟成をかけることがありますので、それに近い印象を感じました。
山三
微炭酸でフルーティーな印象でした。
信州亀齢
昨日は酒蔵を訪れた信州亀齢です。
長野県内の飲食店でも入手が難しいとのことでした。
嫁はもう飲めないとのことでしたので、私だけ半合でいただきました。
お会計
飲み物は日本酒2.5合+瓶ビール+杏サワーで、追加1貫して2人で約6万円でした。
ちょっと早いクリスマスディナーという感じです。
感想
ネタに関しては長野には海がありませんので、他の都道府県のものが使用されています。
海なし県の長野の調理法や食材と海のものを合わせ、それが見事に融合していましたので、これぞ地方鮨の魅力だと感じました。
淡水魚や長野は信州サーモンなども有名ですが、これらを使っておらず、鮨として勝負しているところにも好感が持てました。
長野を訪れた際には、ぜひ訪れてほしいお店です。