駒田蒸留所へようこそ
2023年11月10日(金)に公開された『駒田蒸留所へようこそ』という映画を見てきました。
ウイスキー好き当観点で映画レビューをしていきます!
配信
2024年9月現在はDMM TVにて独占配信が行われています。
月額550円および初回30日間無料ですので、無料期間内に解約すれば実質無料で視聴することが可能となっています。
概要
以降ネタバレが含まれますので、まだ見ていない方はご注意ください。
あらすじ
先代である父亡きあと、実家の「駒田蒸留所」を継いだ若き女性社長・駒田琉生(こまだ るい)が、経営難の蒸留所の立て直しとともに、バラバラになった家族と、災害の影響で製造できなくなった「家族の絆」とも呼べる幻のウイスキーの復活を目指す―。
『駒田蒸留所へようこそ』は富山県にあるアニメ制作会社である『P.A.WORKS』が手掛ける日本のクラフトウイスキー蒸留所を舞台にしたアニメ映画です。
『P.A.WORKS』と言えば、『花咲くいろは』や『SHIROBAKO』あたりが有名だとは思いますが、個人的には未履修です。
P.A.WORKS制作で見た作品は2010年放送の『Angel Beats!』ですね。
2010年は私が大学に入学した年で、二コニコ動画だったかで配信されていたのを毎週楽しみに見ていて、Blu-ray買うほど好きでした。
話を戻すと、同じく富山県にある『三郎丸蒸留所』や『T&T TOYAMA』の稲垣貴彦さんがウイスキーの設定監修を担当されています。
ウイスキー好きであれば、ウイスキーを題材にした映画が公開されることは、各種SNSでも告知が行われていましたし、ウイスキーイベントなどでもビラが配られていましたので、一度は耳にしたことがある情報だと思います。
そして、どこか上映を楽しみに待っていたのではないでしょうか。
公開から2週間程度経ってようやく見てきましたので、その感想を記載していきます。
感想
ここからは本当にネタバレが含まれますので、まだ見ていない方はご注意ください。
駒田蒸留所の若き女性社長・駒田琉生が色々な蒸留所を訪れて担当者にインタビューを行うから同行して記事にしろ、とインターネットニュースサイトの記者・高橋が命じられたところから物語は始まります。
物語の前半はこの記者の行動にイライラします。
インタビューの前日に担当しろと言われたので、ウイスキーの製造工程を知らないのはまだしも、さすがに場所や企業名は事前に伝えられているんだから企業名は間違えないだろ..
行動や言動にはイライラはするものの、仕事のやりがいを考えたり、他の人がいきいきと仕事をしている姿をみるとそれと比べると俺は..となる気持ちにはどこか共感できるものがあります。
途中、高橋が改心して自ら蒸留所の方に質問しだすシーンには少しウルッとくるものがありましたし、私も明日から仕事に真面目に取り組もうと思いました。
物語はいいことだけが起きるのではなく、『修正前の記事を公開してしまった』や『漏電で熟成庫が火事になった』などのマイナスなことが起こるので、ちょっとメンタルが削られるシーンもあります。
マイナスなこともありつつも、物語の目的でもある以前駒田蒸留所で製造していた『独楽』というウイスキーを復活を目指して物語は進んでいきます。
『独楽』を製造していた当時は駒田蒸留所で製造した原酒を使用していましたが、現在は震災によって設備が破損したため原酒がありません。
クラウドファンディングによって駒田蒸留所自体でウイスキー、原酒を製造することができるようになっていますが、ウイスキーは製造したらすぐに出荷できるわけではありません。
製造して樽に詰めて3年以上熟成させないとウイスキーと名乗ることができないため、まだ3年が経過していないので駒田蒸留所の原酒を使用することができません。
そのため、紆余曲折ありつつ色々な蒸留所から原酒を集めて『独楽』を作り上げていきます。
物語の最終盤。
当初は駒田琉生や蒸留所のメンバーだけで復活を試みますが、味の再現に難航します。
『独楽は家族のお酒』とあるように、疎遠になっていた兄との和解など、『独楽』の復活に向けてバラバラになっていた家族がまた1つになっていきます。
兄の協力もあり味の再現度は高まりますが、何かあともう一味足りない。
亡き父が残したノートには製造の工程が記されているものの、ノートの劣化や亡き父のクセのある字のせいで駒田琉生や兄では解読ができない。
亡きお父さんのクセのある字をお母さんに見せたところ簡単に読んでみせて、最後の工程にたどり着くことができ、『独楽』の再現に至ります。
そして、お酒は苦手だけど『独楽』なら飲めるお母さんが飲み、そのとき見せた表情で亡きお父さんは出来の良さを確認していた、だから今回復活させた『独楽』もいい出来だねというところにはウルッときたというか少し泣きました。
『家族』がテーマとなっており、見終わったらすごく心温まるいい作品だったと思います。
ウイスキー好きからみた感想
ここからは少しウイスキーに寄った感想を記載していきます。
実際に存在する蒸溜所が登場する
物語の中には実際に存在する蒸溜所がいくつか登場します。
駒田蒸留所のモデルは『三郎丸蒸留所』ですし、その他『マルス駒ケ岳蒸溜所』、『八郷蒸溜所』、『秩父蒸溜所』、『長濱蒸溜所』が登場します。
固有名称はそのまま使用されていませんが、蒸溜所の風景や内部は現物そのまま登場します。
私はこの中ですと『マルス駒ケ岳蒸溜所(訪問時はマルス信州蒸溜所)』を訪れたことがありますが、映画を見た方は冒頭に登場したこの風景に見覚えがあるはずです。
映像もキレイですし、まるで蒸溜所見学をしているかのような気分になれます。
実際の蒸溜所見学も楽しいですし、聖地巡礼として訪れるのも良いのではないでしょうか。
独楽の再現
駒田蒸留所の原酒が使用できたないため、他社の蒸溜所の原酒、ウイスキーを使用して『独楽』の再現させています。
実際にウイスキーの製造やブレンディングに携わったことはありませんが、現在日本の中ですら様々な蒸溜所がありますが、それぞれ個性や味が全く異なります。
製品になる前の構成原酒もいくつか飲んだこともありますが、やはり蒸溜所ごとに味わいは異なります。
海外からの原酒も届いたと作中では言っていたと思うので、ウイスキーの本場スコットランドのスコッチに目を向ければ、さらなる蒸溜所があるわけです。
この星の数ほど蒸溜所や原酒がある中から、味の再現に至るというのはすごいことだと思います。
逆に言うのであれば、他社の原酒を使用して自社のウイスキーを再現できるってことは..
例えば、サントリーの原酒を使用して、狙って作ればニッカのウイスキーも再現できるって..こと?とも思いました。
これが物語の中の話なのか、現実でも可能なのかは気になるところです。
カスクフィニッシュ
『独楽』の再現に向けた最後の工程は、自社で作っている焼酎『糸』の樽でカスクフィニッシュをかけるというものでした。
樽詰めは一人じゃできない作業ですし、当時の社長やブレンダーがいなくとも当時から製造に携わっていた人がいるならわかるだろと思いました。
まぁ細かいことは気にしないでおきましょう。
おわりに
個人的には早見沙織ボイスに終始癒やされつつ、当時リアルタイムで呪術廻戦を見ているのでどこか五条悟がちらついていました。。
ウイスキー好きはもちろんのこと、声優好きの方、ウイスキーも声優も知らなくても仕事をしたことがある方全員に見て欲しいいい作品だったと思います!